中国


長い伝統と文化にはぐくまれた民族音楽。 アジアの国々ではその多様な歴史と伝統から生まれた、 独特の楽器、リズム、音色が民衆の生活に根づいています。

中国の民族音楽(伝統音楽)は、 長い歴史における民族の興亡、イスラム圏やヨーロッパとの東西交流の中で 独特の発展を遂げてきました。

現在中国は55の少数民族と漢民族とで構成されていますが、 それぞれの民族に伝えられた音楽は他の民族との交流の中で より内容が豊富になったり、新しい発展を遂げています。 今日の中国民族音楽の演奏でも、 各少数民族の曲やメロディーが必ずといってよいほど 協奏曲として採り入れられるなどしています。

中国の民族音楽で使われている楽器は、 中央アジアやイスラム圏から伝えられた楽器や中国各民族の伝統楽器の特色が加わり、 さらに近代になって改良されたものです。

人の感情に最も近い音を出すといわれる 二胡、 指で激しくつま弾くことで感情の動きを表現する 琵琶、 日本の琴よりも多い20弦でより細やかな音色を伝える 古箏など、 日本でもなじみのある楽器が奏でる音色は大変親しみのあるものです。 悠久の歴史の調べ、心を揺さぶる旋律と音色。 中国民族音楽が今注目されています。

■二胡■

唐時代に西域から伝わった楽器で、堅い木の胴に蛇の皮が張ってあり、二本の弦の間を馬の尻尾の毛を張った竹製の弓で擦って演奏します。

もともとは「奚琴」と呼ばれ、民間のみで流行して、宮廷や貴族の屋敷で用いられることはありませんでした。

ずっと戯曲の伴奏や江南絲竹楽隊の主奏楽器でしたが、20世紀になって独特の音色が注目され、多くの作曲家や演奏家によって単独演奏のできる楽器に改良され、演奏技術も向上して地位も上がり、今では中国の代表的な楽器とされています。

日本では一般に胡弓とも呼ばれています。


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