サンバ(samba)という音楽


サンバの成立と現在


19世紀末から20世紀初頭にかけて、リオで形作られたといわれるが、アフロ系の伝統の色濃い当時のバイーアの音楽が強い影響を与えたらしい。極めて洗練された音楽で、この1世紀の歴史の中で世界的にも何度かのブームがあった。
現在は、ブラジル本国では他のMPBに押されてマイナーな存在になりつつあるが、むしろ外国での愛好者は増加していると思える。
インターネットを通じた世界的サンバ・ウェブもある。

サンバで使われる楽器


パンデイロ
タンバリンに似た楽器だが、プラチネイラ(ジングル)は3枚1セットで中の一枚を上下の2枚がお椀を伏せたような形で挟む構造となっている。
カーニバルで使用するときは演奏はほとんどせず、回したり放り投げたりして、曲芸的な技を見せながらパシスタ(女性ソロ・ダンサー)と絡んで、駆け引きを披露する。
演奏はもっとも難しい打楽器といわれ、達人になるとドラムセット同様のパーフォマンスができる。パゴージ(音楽パーティ)におけるサンバやショーロの演奏でその味わいを堪能できる。

                                   
クィーカ

プイータとも呼ばれる。フリクション・ドラム(摩擦太鼓)に分類される。最もブラジル音楽らしい音(豚の鳴き声?)を出すと言われる。
構造は片面に張った皮の中央に竹棒の先端をくくりつけてあり、金属、木、プラスチックなどの胴が共鳴するようになっている。
演奏は、この竹棒を濡れた布などで擦るのだが、棒のくくりつけられた部分の直近を指でミュートすると高い音が出る。基本的にはミュート、オープンの2音階しか出ないが、名手になると皮のミュートの強さをかえて簡単なメロディーまで演奏してしまうのには驚いてしまう。

                                                                   
アゴゴ

カウベルを根本につけた金属の柄で連結した楽器。
2連、3連が一般的だが、さらに多数連結した改造アゴゴも見かける。棒などでたたくほかに、互いにぶつけて音を出すことも行われる。

            
タンボリン

タンバリンとは全く別物。
直径16cmほどの小さな片側にヘッドを張った太鼓で、極めて高く乾いた音がする。細かいパターンを激しくたたくのでカーニバルでは恐ろしく目立つ楽器。

                 
スルド

重低音の大太鼓。
サンバのリズムの屋台骨2拍子を叩き出す最も重要な楽器。

             
ビリンバウ

サンバではあまり使われない。
むしろバイア系のカンドンブレやカポエイラでは必須の楽器。
木製の弓にピアノ線を張り、下部に木の実等の共鳴物を装着する。片手に持ったスティックで弦をたたき、他方の小指に共鳴物と弓をつなぐ部分を引っかけ、親指と人差し指にはさんだ金属または石などで弦をミュートする。
2音しか基本的には出ないが、スティックの扱い方や、共鳴胴を奏者の腹に当てたりはなしたりすることにより驚くほど多彩な表現が可能である。ナナ・バスコンセロスはこの楽器の名手として世界的に有名。

  
ペピーキ・ジ・マンゥ

小形の太鼓で主にパゴージで使用される。
小脇に抱え、スティックは使わずに素手で叩いて演奏する。

                                                       
ショカーリョ/ガンザ/シキシキ

シェイカー。
いろいろな形、大きさがある。中身は小石、砂、木の実などで、振ってリズムを出す。シキシキはパレード用で大きな音が出る。

                                                          
バンドリン

マンドリンの一種でショーロを中心として使用される。
複弦の4コース。

                
アタバキ

細長いドラム。
いろいろな大きさがある。コンガのルーツといわれる。素手で叩くことが多いが、スティックを用いることもある。
カンドンブレの儀式には欠かせない楽器。拝む神様や状況により様々なリズム・パターンがある。この楽器が延々と叩かれる中、次第に巫女さんや信者はトランス状態に突入する。板垣真理子著「バイーア・ブラック」に詳しい。

カーニバル


リオのカーニバル(ブラジル):世界一の規模と豪華さの祭り。
カーニバルの楽しみ方は大別して3通りある。
1)サンボドロモと呼ばれる専用会場で一流チームのパレードを観る。
2)街に繰り出して、小編成のバンドやグループの演奏を聴いたり、踊りに自ら参加するもの。
3)クラブでパーティ形式の乱痴気さわぎに飛び込む。などです。
3)は前宗主国ポルトガル宮廷の伝統が受け継がれたものとか。エッチでめちゃくちゃなんでもありのパーティです。あなたも死ぬまでに一度はぜひとも経験してみてください。
                   
サルバドールのカーニバル(ブラジル):バイーア州サルバドールのカーニバルも世界的に有名。

リオのカーニバルが商業主義的と陰口たたかれる反面、バイアの方は参加型のカーニバルで、好きなトリオ・エレトリコにくっついて踊り狂うというのが正統的楽しみ方。典型的なバイアーナのいでたち。

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